東京都千代田区の四谷メディカルキューブ 減量・糖尿病外科センターです。
「肥満症の治療のために胃バイパス手術を受けたいけど、何キロから受けられるの?」
「新しく胃バイパス手術が保険適応になったと聞いたけど、その条件は?」
このような疑問をお持ちではないでしょうか?
そのような疑問をお持ちの方に向けて、本記事では、胃バイパス手術の概要や保険適応の内容についてご紹介します。ぜひご参考ください。
胃バイパス手術とは
胃バイパス手術とは、胃を上部の小さな袋と下部の大きな袋に分け、小腸または十二指腸の消化管をバイパス(迂回路をつくる)することで、消化吸収能を抑制する手術です。
胃バイパス手術には、主に腹腔鏡下ルーワイ胃バイパス術と腹腔鏡下スリーブ・バイパス術があります。
腹腔鏡下ルーワイ胃バイパス術
腹腔鏡下ルーワイ胃バイパス術では、胃を胃のう(20~30cc)と残胃に切り離し、胃のうと小腸を吻合します。残胃は摘出せず、そのまま体内に残します。
この手術により、胃の容量が小さくなることで食事の摂食量が制限され、少量の食事でも満腹感を得られるようになります。さらに、胃の下部と小腸の上部を食物が通らなくなるため、吸収される栄養素やカロリーが減少し、消化吸収能が抑えます。
腹腔鏡下ルーワイ胃バイパス術の課題としては、残胃を摘出せずに体内に残すため、構造上術後のスクリーニングが困難になり、胃がんの発生率が高い日本では適していない点が挙げられます。そのため、日本では腹腔鏡下ルーワイ胃バイパス術はほとんど行われておらず、保険適応も認められていません。
腹腔鏡下スリーブ・バイパス術
腹腔鏡下スリーブ・バイパス術は、2007年に当院減量・糖尿病外科センター長の笠間和典医師が開発した術式です。基本的なコンセプトはルーワイ胃バイパス術と同じですが、その違いは胃の切り方と小腸をつなげる位置にあります。
通常のルーワイ胃バイパス術では、胃を約20ccに切り離し、残った胃が空置されます。この残胃は内視鏡検査ができないため、術後の検査が困難になります。
一方、スリーブ・バイパス術では、空置される胃が残らないように胃を切り取ります。ルーワイ胃バイパス術では胃と小腸を吻合しますが、スリーブ・バイパス術では、胃と十二指腸および小腸を吻合します。
腹腔鏡下スリーブ・バイパス術は、胃がんの多い日本人の糖尿病に対して適したバイパス手術です。その有用性が高く評価され、2024年6月から保険適応が認められています。
腹腔鏡下スリーブ・バイパス術の効果
腹腔鏡下スリーブ・バイパス術を行うことで、胃の容量が小さくなり摂食量が制限されるほか、胃の下部と小腸の上部を食物が通らなくなるため、消化吸収能が抑制されます。さらに、単に食事からの摂取エネルギーが減少するだけでなく、消化管ホルモンの変化やインスリン抵抗性の改善など、代謝改善効果も高く発揮されます。
その結果、非常に高い体重減少効果が得られるだけでなく、糖尿病に対しても大きな効果を示します。
当院のデータでは、腹腔鏡下スリーブ・バイパス術は、ルーワイ胃バイパス術と同等の体重減少効果を示し、特に重度の糖尿病患者に対して非常に高い寛解率が確認されました。また胃バイパス術よりも術後合併症が少ないことも特徴です。特に、糖尿病になった期間が5年以上、すでにインスリンを使用している方や、内科治療で血糖コントロールが困難な方、BMIが45以上の重症肥満の方に対しては、非常に高い効果を発揮することが分かっています。
腹腔鏡下スリーブ・バイパス術の保険適用
腹腔鏡下スリーブ・バイパス術は、その有用性が評価され、2024年6月から保険適応が認められています。保険適応を満たす患者さまは、以下のすべての条件に該当する必要があります。
□ BMI35以上
□ 6ヶ月以上の内科的治療を継続している
□ 糖尿病を合併している
なお、腹腔鏡下スリーブ・バイパス術は、その手術経験が5例以上ある外科医が常勤していることが、保険適用で手術を行う条件となっています。そのため、日本では数か所の医療機関のみで実施可能です。(当院もその医療機関の一つです。)
まとめ
本記事では、「胃バイパス手術は何キロから受けられる?」をテーマに、胃バイパス手術の概要や保険適応の内容についてご紹介しました。
国内で保険適応が認められる手術としては、腹腔鏡下スリーブ・バイパス術が挙げられます。保険適応の条件としては、「BMI 35以上」「6ヶ月以上の内科的治療を継続していること」、そして「糖尿病を合併していること」が求められます。
今回ご紹介した内容が、ご参考になれば幸いです。
減量治療は当院にご相談ください
東京都千代田区の四谷メディカルキューブ 減量・糖尿病外科センターでは、保険適用の腹腔鏡下スリーブ状胃切除術や腹腔鏡下スリーブ・バイパス術をはじめ、国内外で多数の腹腔鏡下減量・糖尿病外科手術を行っています。
また、カプセルを飲み込むだけで減量効果が得られるカプセル内服型バルーン治療「Allurionプログラム」や、BMI 27.5以上35.0未満の軽度肥満2型糖尿病患者さまを対象にした臨床研究なども実施しています。
当院では、減量治療におけるさまざまな治療オプションを備えており、患者さま一人ひとりの状態に合わせた治療を提供しています。治療に関する無料相談も受け付けております。お気軽にご相談ください。
この記事を書いた人
■四谷メディカルキューブ 減量・糖尿病外科センター
四谷メディカルキューブ 減量・糖尿病外科センターでは、高度肥満症の方を対象とした減量手術を行っています。減量手術において国内屈指の執刀経験を有しており、論文、学会発表、講演、メディア出演など、多岐にわたる活動を展開しています。
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