治療&サポート

栄養について

術前の栄養管理

 この手術は、長い間肥満による合併症などで悩まれてきた方々にとって、まさに究極的な治療です。

 しかし、手術ですから当然リスクが伴います。特に高度肥満症の方々は正常体重の方に比べて更にそのリスクが高くなります。このリスクを少しでも軽減するため、当院では術前に必要な減量をしていただくよう減量・糖尿病外科センター専任の管理栄養士が個別に指導を行っています。

 皆さんが今まで経験されてきた極端なダイエット等は術前の体の栄養状態を悪くし、術後の回復力の低下を招いてしまいます。当院から指導する術前減量は、低カロリーですが栄養バランスに優れたフォーミュラ食品を用いて減量を指導します。

フォーミュラ食品とは

 1日の摂取エネルギーを基礎代謝以下の600kcal以下に抑える、超低エネルギー食療法(VLCD=VeryLowCalorieDiet)や、800kcalから1200kcalに抑える、低エネルギー食療法に用いられる食品で、良質なタンパク質を主原料に糖質、脂質を控え、ビタミン、ミネラルをバランス良く含んだ、規格食品の事を言います。

 超低エネルギー食療法は、タンパク質・ビタミン・ミネラルはほぼ1日の栄養所要量を満たしているフォーミュラ食品のみを用いて行うもので「完全法」と言われています。3食の食事の代わりにフォーミュラ食品を利用し、エネルギーは600kcal以下に抑えますが、栄養不良を起こさず、減量を行います。

 低エネルギー食療法は、フォーミュラ食品と一般食を組み合わせて行うもので、「コンビネーション法」と言われています。3食のうち1食か2食にフォーミュラ食品を利用し、残りはバランスの良い食事を組み合わせます。

 これらのダイエット法は、あくまでも期間限定のもので、手術前の1ヶ月間使用します。(BMIの高い方は1ヶ月以上使用していただく場合もあります)

 手術前の患者様に、今までのダイエット経験をお聞きすると、この種のダイエットは、ほとんどの方が経験済みです。(特に女性に多いのですが・・・) でも、結果はどうでしょう・・・?短期間は減量に成功しても、その後リバウンドを引き起こしたことと思います。その結果、この手術にたどり着いたのではないでしょうか。

 つまり、長期間のダイエット法ではなく、手術前に使用する事で少しでも減量し、また内臓脂肪を減らすことで、手術のリスクを少なくすることを目的としています。

術後の栄養管理

 手術をすれば簡単に減量できると思ったら大間違いです!!様々な変化が身体の中で起こるわけですから、あなた自身がしっかり食事に関して注意をしていかなければ、簡単に栄養失調になってしまいます。この時期に栄養管理をしっかり実行し、正しい食生活を身につけることが大切です。

 成功の鍵はあなた自身がにぎっています。術後の変化をしっかり理解し、健康的な身体と共に正しい食生活への一歩を踏み出しましょう!!

術後の食生活のポイント

胃の容量が縮小するので、食べ方の工夫が必要です

食べ物の種類を初めのうちは制限し、流動食から徐々に固形物へ移行します。

  • 術後の食事のスケジュール
    ・ステージⅠ(流動食):術後翌日からスタート
    ・ステージⅡ(流動食+半固形食):術後15日目からスタート
    ・ステージⅢ(通常食):術後1ヶ月後からスタート
  • 少量ずつ(スプーン1杯ずつ…)ゆっくり飲む(食べる)習慣を身につけます。
  • 1口飲んだら3分程度休んで食事をします。

栄養不良を起こす可能性が高いので不足しがちな栄養素の摂取を心掛けましょう

  • 水分は1日2000ccを目標にしっかり摂取します。
  • タンパク質をしっかり摂取しましょう。
  • 鉄・ビタミン・カルシウムなどのサプリメントをしっかり摂取します。

当院では減量・糖尿病外科手術後に必要な微量栄養素を一度に取ることが出来るサプリメントを独自に開発しています。(1ヶ月税別3,000円)

ダンピング症候群を起こさないように注意しましょう

  • 食事時間は30分〜40分かけて、ゆっくりよく噛んで食べましょう。
  • 食後の高血糖を抑える為、砂糖含量の多いものは控えてください。

ダンピング症候群とは・・・

 胃は通常、食べた物をためておいて、粥状にしてから少しずつ小腸に送り込む仕組みになっています。しかし、この手術を受けると胃が小さくなるため、食べた物をためておく力が低下するばかりか、胃酸の分泌も少なくなるので、消化する働きが低下してしまいます。

 そのため、胃の運動がうまく行かず、食べた物が粥状にならないまま、小腸に流れてしまうといったことが起こると、『ダンピング症候群』を起してしまうのです。『ダンピング』とは、「物がどさっと流れる」、あるいは「投げ売り」という意味からきています!!

 症状としては、冷や汗・動悸・めまい・全身倦怠感・顔面紅潮などがあり、早期ダンピング症候群と後期ダンピング症候群に分かれます。

早期ダンピング症候群

食後30分以内に起こります

  • 食べ物が胃から小腸に急速に流入することにより発生します
  • 食べ物が急速に小腸に流れ込むと、胃腸が急に拡張したり動き出したりするので、 懸命に働こうとする小腸に血液が集まり、体全体の血液の配分が変化してしまいます。この状態を立て直そうとする反応も絡んで起こるのが、早期ダンピング症候群です。
  • 起こさないようにするには…
    ・ゆっくりよく噛んで食べる!!
    ・固形物を流動物で流し込まない!!
    ※繰り返し起こってしまう時は、薬物療法を行います。
  • 起きてしまったら…
    ・横になってしばらく休むと落ち着きます。

後期ダンピング症候群

食後2〜3時間後に起こります

  • 食事直後の高インスリン血症により二次的に低血糖を起こした状態です。
  • 食べ物が早く流れ込むため、血糖値が正常な人より急激に上がる場合があります。このため、血糖値を下げようとインスリンが過剰に分泌されて、低血糖状態になってしまいます。
  • 起こさないようにするには…
    ・ゆっくりよく噛んで食べる!!
    ・食後高血糖を起こしやすい砂糖含量の多いものの摂取を控える
  • 起きてしまったら…
    ・砂糖湯やガムシロップなどを摂取すれば症状は徐々に和らぎます。
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