治療&サポート

腹腔鏡下スリーブ・バイパス術

 腹腔鏡下スリーブ・バイパス術(LSGB)は我々が開発した術式ですが、決して、「全く新しい手術」というわけではありません。手術の基本コンセプトは胃バイパス術(以下バイパス)と変わりません。すなわち、食事摂取量制限と栄養吸収制限のコンビネーションの手術です。糖尿病外科治療として重要な位置づけとなる手術でもあります。

腹腔鏡下スリーブ・バイパス術(LSGB)

 スリーブ・バイパス術は糖尿病に対し高い治療効果を持っている手術です。スリーブ状胃切除術と比較すると胃バイパス術は糖尿病の改善効果が高いことが分かっています。しかし、胃癌の多い日本人では全ての人が、検査が出来なくなる胃を作る胃バイパス術を受けることはできません。そこで我々はスリーブバイパス術を開発しました。

腹腔鏡下スリーブ・バイパス術/胃バイパス術/スリーブ状胃切除術

 通常の胃バイパス術との違いは胃の切り方と小腸をつなげる位置です。通常の胃バイパス術は胃を20cc程度の小さなパウチ(胃嚢)として切り離して、残った胃(空置された胃:検査ができない胃)ができます。しかし腹腔鏡下スリーブ・バイパス術は胃をスリーブ状胃切除術と同じようにして、空置された胃を出来ないように切り取ってしまいます。

 通常のバイパスではパウチ(胃)と小腸を吻合します。腹腔鏡下スリーブ・バイパス術では十二指腸と小腸をバイパス術をするのと同じように吻合します。ただ、バイパスよりも胃のサイズが大きいため、栄養吸収制限を若干強くします。

 我々のデータでは、胃バイパスと同等の体重減少であり、重度の糖尿病患者に対しても極めて高い寛解率を示しました。

 デメリットとしては、スリーブとバイパスをあわせたものですから、手術が複雑で、機材や時間が多くかかるために費用は高くなります。手術が煩雑になるため合併症が増えると考えられますが、当院ではスリーブ状胃切除術と大きな差はありません。ただこの手術は本当に熟練した減量外科医のみがおこなうべき高い技術を要する手術だと考えています。また、スリーブ状胃切除術と同じで、切った胃を取り出してしますので元に戻すことはできません。

 メリットとしては、胃の幽門と呼ばれるリングを残して十二指腸と吻合するため、ダンピングが少ない、潰瘍が少ない、胃の観察が通常の胃内視鏡で出来るため胃癌のリスクのある方にも安心して施行できる。糖尿病やその他の疾患に対する効果および減量効果はスリーブよりも高く、バイパスと同様またはそれ以上と考えられます。

 また、当院では臨床研究として、BMI27.5から30までの2型糖尿患者さんに対してこの手術を行っています。現時点でBMI30以下に対して行える唯一の糖尿病外科手術となります。

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