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減量外科の歴史


Chapter 6 GASTRIC BANDING & LAPAROSCOPIC ADJUSTABLE GASTRIC BANDING
(胃バンディング術&腹腔鏡下調整性胃バンディング術)



GASTRIC BANDING (胃バンディング術)
食事摂取量制限だけの減量手術のもうひとつの術式として胃バンディング術がある。これは1978年にWilkinsonによって行われた。現在と違いこのころは非調節性のバンドであった。これは2cmほどのメッシュの素材を用いて、胃の上部にまきつけて砂時計型の胃を作り、小さな胃の部分と残りの部分を分割する手術である。小さな胃の部分が拡がってしまうと十分な体重減少が得られなくなった。
1980年にMolinaがダクロンという血管手術に使われる素材をもちいて、胃の上部にまきつける手術をおこなった。この手術の胃嚢はWilkinsonの手術よりも小さくされた。ダクロンはその周りに肝臓が著明に癒着するため、PTFE(ゴアテックスR)が持ちいらえるようになった。
1983年にKuzmakが幅1cmのシリコンのバンドを用いて、胃の周りに巻きつける手術を行った。これは食物の通る部分の太さを13mmとして、30-50mlの胃嚢を作るようにした。このバンドは後に調節可能なバンドへと変遷していく。

■胃バンディング術の利点
・貧血がない ダンピングがない
・ 栄養障害がない 在院日数が短い 手術死亡率が極めて低い
■胃バンディング術の合併症
・胃の穿孔 腹壁瘢痕ヘルニア 狭窄
・バンドのスリップ(ずれ) バンドの胃の中への穿通
・再手術や手術変更が必要となることが多い

LAPAROSCOPIC ADJUSTABLE GASTRIC BANDING
(腹腔鏡下調整性胃バンディング術)

1986年にKuzmak医師がシリコンバンドに風船をつけて調節性のバンドを開発した。この風船は腹部の皮下に入れるリザーバーによってバンドの径が調節できるようになっていた。風船を膨らませることによりバンドをきつくして、食事摂取量を制限して減量を促し、風船を縮めることによりバンドをルーズにして減量を減らすことが出来る。このバンドは腹腔鏡下に挿入することが出来るため、開腹手術による合併症を減らすことが出来るようになった。
現在では数社のバンドが発売されている。ラップバンド、SAGB、ミッドバンドなどである。どれが他社に対して優れているかのデータは出ていない。ラップバンドは2001年に米国FDAの認可を得ている。
LapBandASBS
これらの手術は胃腸のバイパスをしないため、食事摂取制限だけで減量を図る手術である。良好な結果を得るためには、患者さん自身による厳密なコントロールと頻回のバンドの調節が必要となる。ラップバンドは元に戻すことが可能であり、他の手術のように栄養障害やミネラルの欠乏などを起こすリスクは少ない。この手術による手術死亡率は約0.1%とバイパスのそれよりも少ない。
調節性胃バンディング術は安全で、命にかかわる合併症が少ない術式である。超過体重減少率はバイパスやほかの栄養吸収を制限する手術に比べると少なくなる。2年間の報告で28-65%、5年で54%といわれている。(注:この記述より後に出た多変量解析に基づく報告では若干違ったデータが出ています。http://www.genryou-syujyutsu.com/main/main05.html を参照してください。) 肥満に起因する疾病、糖尿病、高脂血症、睡眠時無呼吸症候群、胸焼け、高血圧、喘息などの改善も報告されているが、しかしながら、バイパス術と比べるとこれらも低くなる。
ある研究ではこの手術はバイパスと同等の減量を期待でき、合併症もすくないとされているが、ほかのグループでは良好な結果は得られないとするものもある。いくつかの研究では、かなりの数の患者さんがバンドの長期の合併症(ポートの問題、胃内への穿通、バンドのずれ、不十分な体重減少)により再手術が必要とされるという報告もある。うまくいかなかったバンド手術から他の減量手術への変更は技術的にさらに高度であり、通常のバイパスやBPD/DSと比べて合併症が多くなる。
■調節性胃バンディング術の利点
胃バンディング術と同じ 
バンドを調節できる 
バンドを取ることによって元に戻せる腹腔鏡下に行える
■調節性胃バンディング術の合併症
Intraoperative : 術中

出血 脾臓、胃、食道の損傷
開腹術への移行
Postoperative : 術後

バンドのずれ バンドやチューブのもれ
ポートの感染 バンドの感染
閉塞 嘔気、嘔吐
Late complications :
時間がたってからの合併症


バンドの胃内への穿通 
食道拡張  
体重減少の失敗
 

【参考文献】

■Gastric banding

Oria, HE. Gastric banding for morbid obesity. Eur J Gastroenterol Hepatol 1999;11:105-114.

Kuzmak, LI, Yap, IS, McGuire L, et al. Surgery for morbid obesity. Using an inflatable gastric band. AORN J 1990;51:1307-24.

■Laparoscopic adjustable gastric banding

Belachew M, Belva PH, Desaive C. Long-term results of laparoscopic adjustable gastric banding for the treatment of morbid obesity. Obes Surg 2002;12:564-568.

O'Brien PE, Dixon JB, Brown W, et al. The laparoscopic adjustable gastric band (Lap-Band): a prospective study of medium-term effects on weight, health and quality of life. Obes Surg 2002;12:652-60.

Dixon JB, O'Brien PE. Health outcomes of severely obese type 2 diabetic subjects 1 year after laparoscopic adjustable gastric banding. Diabetes Care 2002;25:358-63.

Ponce J, Haynes B, Paynter S, et al. Effect of Lap-Band-induced weight loss on type 2 diabetes mellitus and hypertension. Obes Surg 2004;14:1335-42.


※この「減量外科の歴史」は米国肥満外科学会 American Society for Bariatric Surgery (ASBS) のサイトに掲載されているStory for Surgery for Obesity ASBSの了解を得て翻訳し,減量手術.comに掲載しております。 


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